日本の医療保険制度と国民健康保険組合

  昭和36年以降、日本では、すべての人が公的な医療保険に加入することになっており、国民皆保険制度といいます。
  医療保険は大きく職域保険と地域保険に分けることができ、職域保険としては、民間のサラリーマンを対象とした「健康保険」と公務員や船員などを対象とする「共済組合」や「船員保険」があります。
  地域保険としては、個々の市町村が運営する「国民健康保険」があり、このほかに特定の職種ごとに設立された「国民健康保険組合」があります。
  国民健康保険組合(以下、「国保組合」という。)は、国民皆保険制度の実施以前から、業種別母体組織を軸として連帯意識と相扶共済の精神に基づき、民間活力による効率的な事業運営により市町村公営の国民健康保険制度の先駆的、かつ補完的な実施者として、医療保険の発展に貢献してきております。
  しかも、日本経済が混迷の様相を強める中にあって、国保組合は国民の健康を守ることのみならず、設立母体組織の結束と発展のためにも、欠くことのできない制度となってきております。
  令和6年4月現在、全国で158の国保組合が設立されており、全国国民健康保険組合協会には、132組合が加入しています。


国保組合の事業と運営

  国保組合は、国の事業を代行する公法人であり、法によってさまざまな機能が与えられています。
  国保組合の事業運営については、組合会において決定されるため、国保組合の実態に即したきめ細かな事業運営ができるという特色があります。
  事業は、保険給付と保健事業に大別されます。保険給付には、国民健康保険法に基づく法定給付と、国保組合が任意に行う出産・死亡等に対する給付とがあります。また、保健事業は、組合員やその家族の健康の保持・増進、疾病予防等を目的とした事業で、同種同業の連帯の下に組織された国保組合において、最も独自性を発揮している事業です。
  特に近年、高齢化の進展や疾病構造の変化に伴う生活習慣病の増加の中で、組合員とその家族が安心して日々の生活を送れるよう、保健事業の充実を図っております。
国保組合の事業



国保組合方式のメリット

  国民健康保険事業は、社会保険方式による医療費保障の制度であり、国保組合も社会保険の理念である「相互扶助」の精神に基づき運営されています。その中で国保組合は同種同業で組織され、組合方式で運営されていますので、市町村国保とは違った次のようなメリットがあります。

@ 組合員が国保組合の事業運営に参加できること

A 国保事業の運営に関し、組合員の自覚と協力が得られやすいこと

B 管理責任が明らかで、国保事業運営上の努力が得られやすいこと

C 同種同業者で成り立っていることから、きめ細かな運営ができること

D 特に、同種同業者で組織されているため、保健事業を効果的に推進することができること